写真や動画に使える照明機材が欲しいんだけど、何を見たらいいのか良くわからない…
LEDの技術が進歩してきたことにより、Amazonなどでも安価な撮影用LEDライトがかなり多く出回るようになりました。
しかしどれも同じような感じで、いったいどこを見たらいいのか分からない…
試しに買ってみたけど思ったよりも暗かった…
こんな経験はないですか?
テレビ局で10年以上プロ照明マンとして働いている私が、照明機材を選ぶポイントを分かりやすく解説します
明るさの目安や色味の調整できるバリエーション、演色性(色味の美しさ)など、買うときに見るべきポイントを覚えて良い照明機材を手に入れましょう!
- テレビ局で働くプロ照明マン歴10年以上
- スタジオでのバラエティや商品撮影、ロケ、ドラマなどの照明を担当
- 所有カメラはSONY α7ⅲ、FX30
- 私物のライトや撮影機材もどんどん増えてる
ゆーふぃる
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撮影用ライトの選び方①明るさの目安
撮影用ライトを買う上でまず一番気になるのはライトの明るさです。
せっかく買ったのに暗かったら使い所が限られてしまいます。
まずは明るさの基準となる数値から解説していきます。
明るさの目安|ニト、カンデラ、ルーメン、ルクスの違いとは?
光の明るさは数値化されているのですが、ライトによって違う単位を使っていたりして余計にややこしくなっています。
輝度 | 光度 | 光束 | 照度 | |
単位 | ニト(nit) or カンデラ平方メートル (cd/㎡) | カンデラ(cd) | ルーメン(lm) | ルクス(lx) |
説明 | ある方向から見た物の輝きの強さの単位です。 光源を見た時の、見た目の明るさを表しておりディスプレイの明るさ表記などにも使われています。 | 光原から出る一定方向に対しての光の強さの単位です。 ろうそく1本の明るさが1カンデラとなります。 | 光源から放たれる360度含めた、1秒間に放たれる光の総量の単位です。 シーリングライトや電球などは、取り付ける部屋によって天井から床までの距離が違うので, ルーメンで表記される場合が多いです。 | 光源から出る光で照らされた面の明るさの単位です。 撮影用のライトはこの照度が使われる事が多く、〇〇mで〇〇ルクスと表記されています。 |
照度は距離によって変わる
照度は距離によって変わり、離れるほどに照度は低く、つまり暗くなります。
距離の自乗に反比例するので、例えば1mの距離で1000lxだった場合、2mなら1000×1/(2×2=4)で250lx、3mなら1000×1/(3×3=9)で約111lxとなります。
単純計算で2倍の距離だと1/4、4倍の距離だと1/16の明るさとなります
撮影用ライトの場合は「○○mで○○lx」と表記されている場合が多いです。
例えば「物撮りのライティングをプロ照明マンが解説」の記事で使用している「Pixel G1S」は0.5mで1500lxと表記されていますね。
この場合、2倍の距離の1m離れた場所からG1Sを当てると、照度は1/4の375lxとなります。
ライトの商品ページの仕様の部分などに照度が書いてあったりするので探してみましょう
あくまで単純計算なので、厳密には壁や天井などの反射も含まれるため数値は変わってきます。
目安程度に考えてきましょう。
撮影用ライトにおすすめな照度の目安
カメラやカメラの設定だったり、写真か動画なのかどこで何を撮るのかで必要照度は変わるので、この照度があれば大丈夫だと一概に言うことはできません。
なのであくまでおおまかな目安ですが、ライトの種類ごとに最低これくらいは欲しいという照度をまとめています。
コンパクトな充電式ライト | 20cm〜30cm程度のパネルライト | スポットタイプのライト | |
想定されるシチュエーション | メインライトや太陽光などと併用する補助光として。 物撮りやちょっとしたYouTubeの撮影などに持っていると便利。 | 室内でのインタビューや物撮りのメインライト(キーライト)として。 | 室内やスタジオでのメインライト(キーライト)として。 アンブレラやソフトボックスなどを使用する場合は最低でもこれくらいの光量が欲しい。 |
最低これくらいは欲しい照度 | 900~1500lx / 0.5m | 2000~4000lx / 1m | 13000lx〜 / 1m |
おすすめ例 | Soonpho RGBビデオライト (0.5m 980lx) | Pixel 2パック552 (1m 2000lx) | Forza 60B (1m 13830lx) |
Pixel G1S (0.5m 1500lx) | Amaran P60C (1m 5900lx) | Amaran 100D (1m 34000lx) |
ちなみにテレビ局のスタジオでは、人物がいる場所で大体照度800~1000lxくらいを目安としている場合が多いです。
例えば物撮りならライトと被写体の距離はそこまで離れないので、0.5mくらいで1000lx以上あれば十分使えるレベルです。
室内でのインタビューやスタジオ等で使う場合は、被写体から2〜3m離して使ったりソフトボックスなど使用する場合を想定して、十分な光量があるものを選びましょう。
撮影用ライトの選び方②ライトの色温度(CCT)とフルカラー(HSI)
明るさの次に見るべきポイントは「色味の調整」ができるかどうかです。
ライトの色味は「色温度」で表されます。
色温度とは「ケルビンK」という単位で表され、色温度が低いほど暖色、高いほど寒色の色味になります。
- 「電球色」と呼ばれるダウンライトやハロゲン電球などは2700K〜3200K
- 「白色」と呼ばれる蛍光灯などが4000~4500K
- 「昼白色」と呼ばれる昼間の太陽光と同じくらいの色味が5300~5600K
となっています。
色温度について詳しく知りたい方は「カメラのホワイトバランスと色温度」についてをご覧ください。
バイカラーとは
最近のLEDライトであれば色温度(CCT)が調整できるものが多く、2700〜6500Kなどの表記がしてあるものは色温度が調整できるタイプ、いわゆるバイカラーと呼ばれる照明器具です。
例えば先ほども例に挙げたForza 60Bなら暖色の2700Kの色味から寒色の6500Kまで調整ができるライトとなります。
バイカラーのタイプは場所を問わず、その場の色味に合わせて調整できるのがメリットです!
ダウンライトがメインのお店なら3000Kにしたり、太陽光と併用するなら5600Kにしたりと瞬時に合わせられるので非常に便利です。
デイライトとは
逆に5600Kとしか書いていなければ、色温度は太陽光と同じくらいの色味で固定された「デイライト」と呼ばれるタイプになります。
色温度を変えたい場合はコンバージョンフィルター(色温度を変えるフィルター)を使う必要があります。
先ほどのForzaシリーズにはデイライトであるForza 60も販売されています。
デイライトはバイカラーと同じクラスのものと比較すると、よりパワーが強い傾向があります
バイカラーのForza 60Bは色温度5600Kにした場合、1mで13830lxですが
デイライトのForza 60は1mで18820lxと5000lxもの差があります。
バイカラーは色温度の低いLED素子と高いLED素子を搭載して、両方を混ぜ合わせる事で色温度が調整できるようになっているのですが、色温度の低いLED素子は高いものと比べて光量が弱くなってしまいます。
しかしデイライトは5600KのLED素子のみを搭載できるので、同じ素子数のライトであれば特化している分デイライトの方がより光量が強くなります。
G/M+とは
ライトの中にはG/M+などの表記があるものもあります。
これは色被りのグリーン/マゼンタの調整ができるという事です。
古い蛍光灯にはグリーン成分が含まれていたりするのですが、そういった場所でもグリーンを強くしてその場の光に合わせる事ができます。
数値を+にするとグリーンに、−にするとマゼンタが強くなります。
RGBフルカラー(HSI)とは
色温度の調整とは別にRGBフルカラーと記載があるライトは赤や黄色、青など好きな色に変えることもできます。
色温度は「CCT」と呼ばれるモードで調整、フルカラーは「HSI」と呼ばれるモードで調整します。
H(Hue/ヒュー)は色相
S(Saturation/サチュレーション)は彩度
I(Intensity/インテンシティ)は明度
色相(ヒュー)は簡単に言うと0〜360で色味を数値化したものです。
彩度(サチュレーション)を落としていくと色が薄くなっていきます。
明度はDIMMER(光量)にあたります。
撮影用ライトの選び方③演色性とは
撮影用ライトの商品ページなどに「CRI96以上」と書いてあったりするのが「演色性」を表しています。
演色性とは色の再現性、つまりどれだけ「物の本来の色」を引き出せているかの基準です。
演色性が低いと色が少し抜けてくすんだような写真、映像になります。
古い蛍光灯の下だと血色が悪く見えたりするのは、演色性が低くて色が綺麗に見えていないからなんです
Ra、Ri、CRIとは
平均演色評価数(Ra)が一般的によく使われていて、太陽光をRa100とした時にどれだけ再現できているかの指標となります。
Raは8色の色ズレの平均値を評価した「平均演色評価数」
Riは15色の色ズレを個別に評価した「特殊演色評価数」で、CRIはこのRaもしくはRiを元に確認されたものとなります。
CRI(Ra)95以上と書いてたらRa方式で評価した時に95以上でした、という事ですね。
一般的にCRI80以上は高演色、90以上なら超高演色と呼ばれており、撮影には95以上のものがおすすめです。
ただしこのCRIは人間の目で見た時の家庭用、オフィス用ライトとしての基準なので、写真や映像業界での信頼は高くありません。
TLCIとは
そこでテレビ業界の技術者が、映像に特化した演色性の評価方法を定めたのが「TLCI」です。
2012年に欧州で決められたTLCIは、映像向けのカラーチャート18色を、視覚ではなくカメラで撮影した時の再現性を評価しています。
CRIに加えてTLCIも書いてあれば、より写真、映像向けのライトという事だと思っておきましょう
撮影用ライトの選び方④光の柔らかさ
ライトを選ぶ時のポイントとして、硬い光のライトなのか柔らかい光のライトなのかも抑えておきましょう。
ざっくり説明すると、硬い光は影が濃くてシャープな光、柔らかい光は影が薄くてボケた光です。
写真や動画の照明を考える上でとっても大事な要素なので、下の記事をぜひ参考にしてみてください。
同じようなパネルライトでもディフューザーと呼ばれる乳白色のアクリルなどが付いているものは、光が拡散して柔らかい光になりますが、その分明るさは落ちてしまいます。
いっぽうディフューザーの付いていないタイプはパワーがありますが、光は硬く影がキツく出てしまいます。
また、ディフューザーが付いていないタイプはLED素子が密集してそれぞれが光っている事から、LED素子ひとつひとつの影が出てしまうため影が少しにじんでしまいます。
影が目立つ場合は、白壁やレフ板などに反射させて柔らかくすると影がボケて薄くなります。
白いシリコンの付け外し可能なディフューザーなどが付いているタイプもあります。
パワー重視の場合はディフューザー無し
柔らかさ重視の場合はディフューザーを装着
など用途によって使い分けができます。
撮影用ライトの選び方⑤バッテリー運用が可能か
外に持ち出して使う可能性があるならバッテリー運用が可能なのかも大事なポイントです。
コンパクトタイプのLEDライトの大半は充電式のものが主流です。
- バッテリー持続時間の計算
たとえば上記のAputure AL-MCの場合、【定格出力5W】【バッテリー容量2600mAh 3.7V】となっています。
バッテリーの時間計算は(mAh÷1000)×V÷Wなので、2.6×3.7÷5=1.924となり大体2時間ほど持つという事がわかります。
あくまで理論値なので実際はもう少し短い場合もありますが、買う時の参考にしてみてください。
NP-Fバッテリー対応のものも多い
パネルライトクラスになるとAC電源もしくはNP-Fバッテリー対応のものが主流です。
NP-FバッテリーはSONYのハンディカム用のバッテリーで、多くのビデオライトやカメラモニターなどの共通規格となっています。
SONY純正のものは入手が難しくなっていますが、互換品が多く出回っています。
パネルライトの多くはNP-Fバッテリー2個セットで必要なものが多いので注意しましょう。
NP-Fバッテリーはサイズによって大きく3種類に分かれています。
NP-F550/570
一番小型のNP-F550/570シリーズは一般的なパネルライトなら大体1〜2時間程度が目安です。
NP-F750/770
中型サイズのNP-F750/770は大体2〜3時間ほどが目安です。
ちょうど良いサイズ感でおすすめです。
NP-F950/970
大型サイズのNP-F950/970だと一般的なパネルライトの場合4~5時間もちます。
その代わりサイズも大きく重量もそこそこあります。
スポットタイプや消費電力の多いライトの場合は大型の方が良いでしょう。
ちなみにForza 60をNP-F970で使用した場合、フルパワーで1時間15分ほど持ちました。
撮影用ライトの選び方 おすすめ例
解説した5つのポイントをふまえて私が選んだおすすめのライトをいくつかご紹介します。
コンパクトタイプ:Pixel G1S
照度 | 1500lx / 0.5m (5600K) |
色味の調整 | 2500K ~ 8500K & HSIフルカラー |
演色性 | CRI 97+ |
光の柔らかさ | 硬め |
電源 | 充電式(USB-C) 消費電力12W バッテリー容量7.4V 3200mAh |
本体サイズ | 133×83×16mm 450g |
「物撮りのライティングをプロ照明マンが徹底解説」の記事でも使用しているPixel G1S。
スタンド付きで1万円ながら、0.5mで1500lxというこのサイズの中ではトップクラスの明るさ。
物撮り写真なら十分な光量なので、まずは1個持っておいて損はないライトです。
パネルライト Amaran P60C
照度 | 5900lx / 1m (5600K) |
色味の調整 | 2500K ~ 7500K G/M+ & HSIフルカラー |
演色性 | CRI 95+ / TLCI 96+ |
光の柔らかさ | 専用ソフトボックス、グリッド付き |
電源 | 消費電力60W AC電源 / NP-F970対応(2個必要) |
本体サイズ | 271×213×434mm 1.880 kg |
よくあるパネルライトの場合1500~2500lxくらいのものが多い中、5900lx / 1mという驚異的なパワー。
CCTはもちろんG/Mの調整、フルカラー対応でソフトボックス、グリッドまで付いています。
他のライトに比べ値段は少し張りますが、性能から考えるとコスパは高いです。
パネルライト Switti ビデオライトキット
照度 | 2050lx / 1m (5600K) |
色味の調整 | 2600K ~ 10000K & HSIフルカラー |
演色性 | CRI 96 / TLCI 97 |
光の柔らかさ | 専用ソフトボックス付き |
電源 | 消費電力50W AC電源 / NP-F750、970対応(2個必要) |
本体サイズ | 240×250×31mm 1.4kg |
スタンド、ケース、ソフトボックス付きで2台セット。
2050lx / 1mと同じクラスのパネルライトでは明るい部類です。
スポットライト Forza 60
照度 | 本体のみ:3139lux リフレクター付き:18820lux |
色味の調整 | 5600K(デイライト) |
演色性 | CRI 98 / TLCI 95 |
光の柔らかさ | 硬い |
電源 | 消費電力60W AC電源 別売りアクセサリーでNP-F750、970使用可能(2個必要) |
本体サイズ | 195x105x80mm 0.83kg |
デイライトのスポットタイプなので硬い光ですが、付属のリフレクターを付けるとパネルライトとはまさに桁違いの光量が出ます。
別売りのソフトボックスを付けたり壁や天井に反射させても十分な光量が保てるので、物撮りやポートレートまで幅広く使えます。
詳しくは「Forza 60をプロ照明マンが徹底レビュー」の記事をご覧ください。
少し光量は落ちますが、色温度を変えられるバイカラータイプはこちらです
撮影用ライトの選び方 まとめ
LEDの撮影用ライトは新しいものがどんどん出てきています。
しかし光量などは中々実際に見てみないと分からないですし、そもそもどの数値を参考にしていいのか分かりづらいですよね。
この記事を見ることで、少しでもライト選びの手助けになればと思い書きました。
写真や動画は照明(ライティング)をきちんとすれば更に良いものになります。
いくら良いカメラ、レンズを使っていても、良い光のもとでなければ美しい写真は撮れません。
「ライティング」は照明機材を使うことだけではなく、その場にある光を理解して上手く使うことが大事です。
このブログ「ライガジェ」が光についての参考書になれるよう頑張ります。
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