ポートレートといっても屋外、屋内、スタジオなど様々ですが、
今回はスタジオでライトを使ったポートレートライティングに焦点を当て、3Dシミュレーターを使ってプロ照明マンが解説していきます。
この基本のライティングを理解しておけば、スタジオや屋内、ライトや太陽光に限らず様々な場面で応用が効くようになります。

普段は太陽光を使ってなんとなく撮影している、という方も基本の考え方が身につけば、最適なアングルや位置をしっかり理論付けて導き出すことができるはずです
- テレビ局で働くプロ照明マン歴10年以上
- スタジオでのバラエティや商品撮影、ロケ、ドラマなどの照明を担当
- 所有カメラはSONY α7ⅲ、FX30
- 私物のライトや撮影機材もどんどん増えてる


ゆーふぃる
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YouTubeでも解説しています
ポートレートライティングの基本「三点照明」と光の質
「三点照明」はキーライト、フィルライト、バックライトで構成される、ライティングの基本の組み立て方となります。
まずはこの3つの基本的な役割と名称は覚えておきましょう。
- キーライト
メインとなる一番強いライト。
- フィルライト
キーライトの当たらない暗部の補正や、キーライトによってできる影を和らげるための補助光としてのライト。
キーライトよりも低く、弱く、柔らかくが基本。
- バックライト
輪郭を強調したりツヤを出すためのライト。
ヘアライト、リムライト、モデリングライトなどとも呼ばれる。



三点照明に関して詳しくはこちらで解説しています


光の硬い、柔らかい
光には硬い、柔らかいという質があります。
硬い光とはコントラスト(明暗の差)が強く、影がシャープな光です。


いっぽう柔らかい光とは、ソフトボックスや反射光など、広い面の光源で
コントラストが低く、影がボケて目立たないのが柔らかい光です





こちらも詳しくはこちらの記事で解説しています。
ポートレートのライティングを学ぶ上で、まずは三点照明と光の質については理解しておく必要があります。


ポートレートのライティング①レンブラントライティング
ライティングを組み立てる上で、まずはメインとなるキーライトの位置から決めましょう。
キーライトの位置や高さによりガラッと印象が変わります。
レンブラントライティングはプロフィール写真などでもよく使われる技法で、レンブラントという画家が由来です。
シャドー部分が多く、重厚感のあるライティングで男性に向いています。
基本的には人物の鼻筋に対して45度くらいの角度で当て、シャドー側の頬に三角形のハイライトが入る角度が「レンブラントライティング」と呼ばれます。



影の出方が分かりやすいよう、キーライトには硬い光を使って説明していきます
正面
まずは正面向き1灯で見てみましょう。
ライトの反対側、人物の右頬に三角形が出来ています。





陰影がはっきりして重厚感や立体感が強調されます
フィルライトをカメラを挟んでキーライトの反対側に置いてみます。


少し暗部が補正され、立体感を出しつつも表情が見えるようになりました。
フィルライトはあくまで補助光なので、キーライトよりも強くならないようにしましょう。





フィルライトが強すぎると、陰影がなくなりのっぺりとして立体感がなくなってしまいます。
最後にバックライトを足して、輪郭や髪の毛のツヤが出るようにしてみましょう。


ショートレンブラント
人物がやや斜めを向き、カメラ側がシャドーとなるレンブラントライティングが「ショートレンブラント」です。


そしてフィルライトをキーライトと同じ方向のカメラのすぐ横に足してみましょう。


さらにバックライトを足すとこうなります。





フィルライトの位置をカメラを挟んで反対側にするともう少し柔らかい印象になります


柔らかい印象になるため、女性の場合はこちらでも良いかもしれません。




ブロードレンブラント
三角形のハイライトは出しつつも、カメラ側にハイライトを持ってくるのがブロードレンブラントです。


こちらもフィルライトとバックライトを足すとこうなります。


横顔
続いては横顔のレンブラントライティング。
カメラ側にシャドーと三角形のハイライトを持ってきます。


フィルライトとバックライトを足してみましょう。





レンブラントライティングは鼻筋が高くホリが深い西洋人の場合は陰影が強くなりますが、日本人の場合はそこまで強くならない場合が多いので、レンブラントライティングがベースになっていることが多いです




ポートレートのライティング②ループライティング
ループライティングはレンブラントライティングよりもシャドー部が少なく、鼻の影がループ上になる角度で、レンブラントよりも柔らかい印象となります。
ライトの高さもレンブラントよりやや低めとなります。


こちらもフィルライトの位置により、シャドー部の印象が少し変わります。




女性の場合はこんな感じですね。


ポートレートのライティング③スプリットライティング
スプリットライティングはハイライトとシャドーが鼻を挟んで半分になるライティングです。
ライト高さとしてはループよりももう少し低くなり、迫力が出てカッコいい印象となります。


こちらもフィルライトとバックライトを足してみましょう。





三点照明の記事でも出ましたが、いわゆる半沢直樹のようなイメージですね
こちらはスプリットライティングをほんの少し角度を浅くして、キーライトが両目にギリギリ当たる角度となっています。






ポートレートのライティング④バタフライライティング
バタフライライティングは正面めの高い位置からライトを当てて、鼻の影が下に落ちて飛んでいる蝶のように見えることから名付けられたライティングです。


フィルライトの役割としては鼻下や首にできるシャドー部の補正となります。


トップめからライトを当てることで頬にシャドーができるので、小顔効果があり女性に向くライティングです。





キーライトも柔らかい面光源にして、下をカポックや白レフなどですくうと、もっと全体的に柔らかい印象になります


より影が和らぎ、目にも綺麗にキャッチライトが入るので美しい印象になります。




基本のライティングの応用
ここまでは分かりやすいようにあえて硬い光で4つのライティングを解説してきましたが、
実際は柔らかい光で影もあまり目立たせずに作る場合が多いので、
レンブラント、ループ、スプリット、バタフライなどの名称も、実際の現場ではあまり言ったりはしません。
ただライティングの基本的な組み立て方のベースにはなっていて、キーライトの位置を決める上で知っておくべきです。



今までも、いい感じに見えるのでとりあえず斜めから当てていた、という方も多いかもしれません
この基本が分かっていれば
「こういう写真を撮りたい」というイメージに近づけるためには、どこからライト当てればそのイメージに近づけられるのか、
というのがきちんと論理づけて組み立てられるようになるはずです。
レンブラントベースの柔らかい光
まずはレンブラントライティングになるようキーライトの位置を決めます。


そしてディフューザーを入れて光を柔らかくしてみましょう。





これだけでもコントラストが落ち着いて良い感じに見えますね
ただ背景にキーライトがかなり漏れているので、ライトブロッカー(黒カポックや黒フラッグなど)で背景への漏れを切っておきます。


次にフィルライト兼キャッチライトになるように目線方向へ、オクタゴンのソフトボックスをおきます。


暗部が補正され、目にキャッチライトが入りました。




さらに左側の暗部をもう少しだけもちあげるために、カメラを挟んで反対側にもカポック(白レフ)でもうひとつフィルライトを作ります。


そしてバックライトを作って、髪の毛や肩の輪郭を浮き立たせます。


最後にスヌートで背景にハイライト部分を作ってみましょう。









これはあくまで基本的な一例でしかありません
モデルさんの角度や表情、表現したいイメージなどにより最適なライティングは変わります。
そして「正解がない」のもライティングの難しさです。
ただ、正解はなくても「セオリー」はあります。
このセオリーを知っていれば、ライトを使ったライティングだけでなく、
太陽光を使った屋外、屋内での撮影にも活かすことができます。
スタジオポートレートにおすすめの照明機材
ライトにはストロボやLEDの定常光などがありますが、ライトを使ったライティングを練習するなら
個人的にはLEDの定常光をおすすめします。
もちろんストロボの方がコンパクトで光量も強いのですが、当然ですが一瞬しか光らないので、
慣れていないとライトの置き位置の調整が難しいです。
最近のLEDは光量が強いものでもかなり価格も下がってきていますし、
なによりライトをつけたまま置き位置や強さの微妙な調整ができるので、あがりのイメージがしやすく扱いやすいです。
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キーライト
スタジオポートレートのキーライトとして使うのであれば、300Wクラス以上のLEDだとディフューザーなどを使用しても光量に余裕ができるかと思います。



質が良く価格もそこまで高くないAputureやNANLITEが安定感があり、個人的にはおすすめです
Aputure、NANLITEはここ数年でLEDライト業界を席巻し、ドラマやCM、テレビでも主力として使われています。
最近はもっと安いメーカーも出てきていますが、LEDの質やライト自体の扱いやすさは、やはりこの2つが安定感があります。




FS-300Bはレビューもしていますので、参考にしてみてください。


フィルライト、バックライト
フィルライトやバックライトには60W〜200Wクラスのものがおすすめです。








Zhiyunというジンバルなどで有名なメーカーが出しているMolus X100というライトもおすすめです。
カメラのような見た目で超コンパクトながらも100Wという脅威の明るさです。




ディフューザー
ソフトボックスは自分の持っているライトと互換性のあるものを探しましょう。
上記のAputure系やFS300Bなどはボーエンズマウント、そのほかは独自マウントなので他社製ソフトボックスを使用する場合はボーエンズマウントの変換などが必要となります。


最近ではクイックセットアップなど組み立てが簡単なものが増えてきているので、そちらがおすすめです。
自宅などで使うにはなかなかサイズ的に難しいですが、スタジオであればフレームのディフューザーを使用するとさらに柔らかいライティングができます。


しっかりとしたフレームやカポックなどはAmazonなどには中々ありませんが、銀一などの撮影機材専門のオンラインショップなら取り扱っています。
スタジオのポートレートライティングの基本まとめ
今回の記事の説明で使用した3Dシミュレーションソフトは「set.a.light 3D」というものです。


公式サイトも言語設定から日本語に対応しています



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本当によくできているソフトで、ライティングの練習をするのにも非常におすすめです。
これがあればスタジオに入る前に、自宅のPC上で事前にライティングのシミュレーションや練習をすることができます。
このソフトを使って練習をしたうえで、実際にスタジオで組み立ててライティングの引き出しをどんどん増やしていくと
表現の幅が広がり、イメージした写真、映像をどうライティングすれば再現できるのかが分かるようになってきます。
このブログではテレビ局でプロの照明マンとして働く私が
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