点光源と面光源|光の硬い柔らかいとは?プロ照明マンが解説!

点光源と面光源 光の質についてプロが解説

写真や動画を撮影するにあたり、「光」の扱いは非常に重要なポイントです。

例えば蛍光灯の部屋で、同じカメラで同じ人が撮影した場合でも、きちんとライティング(照明)するかしないかで印象が全然変わります。

照明の有無の違い

今回はライティングする上で重要なポイントである、光の「硬い」「柔らかい」の違い「点光源」「面光源」との関係を解説します。

この記事で分かること
  • 光の「硬い」「柔らかい」の違い
  • 点光源、面光源ってなに?
  • 点光源と面光源が光の質にどう影響するか
  • 柔らかい光にするためのポイント4つ
テレビ局のプロ照明マンが解説!
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著者の紹介
  • テレビ局で働くプロ照明マン歴10年以上
  • スタジオでのバラエティや商品撮影、ロケ、ドラマなどの照明を担当
  • 所有カメラはSONY α7ⅲ、FX30
  • 私物のライトや撮影機材もどんどん増えてる
ゆーふぃる

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目次

【光の質】光の硬い、柔らかいとは影の出方の違い

光の硬い、柔らかいとは影のシャープさと、明部と暗部のコントラストの強さで変わります。

ゆーふぃる

噛み砕いて説明していきますね

硬い光とは?

硬い光とはいわゆる太陽光のように、コントラストが高くピシッとしたシャープな影の出る光です。

コントラストとは

写真や映像におけるコントラストとは「明るい部分と暗い部分の差」のことです。

コントラストが高いほど明暗差が大きくなり、低いほど明暗差が小さくなります。

硬い光の場合、光が当たっているところと当たっていないところの明るさの差が大きく、つまりコントラストが高くなります。

直射すると光が硬い

ライトを直射すると、このようにクッキリとした影が出ます。

また、光の当たっていないミッフィーの首や右側の部分は暗く、明暗差が大きいですね。

このような光を「硬い光」と表現します。

ちなみに使用しているのはNANLITE Forza 60というライトです。

柔らかい光とは?

柔らかい光とは、コントラストが低くボケた影の出る光です。

先ほど使ったライトと同じものを使っていますが、硬い光の写真に比べ影がボケて目立たず、ミッフィーの明るいところと暗いところの差が少なくなっています。

光が柔らかい状態
反射させると光が柔らかい

これはライトを左側の白壁に反射させています。

光を反射させたり、半透明の素材を透過させたりすることで「柔らかい光」になります。

柔らかい光だと、写真もふわっとした優しい印象になります。

なんで反射させたり透過させると柔らかくなるの?

ゆーふぃる

光の質には「点光源」「面光源」というものが関係してきます

点光源、面光源とは

点光源、面光源とは言葉そのままで、光源が小さな点であるか、大きな面であるかの違いです。

結論から言うと

ポイント
  • 光源(ライト)が小さい点であるほど光の質は「硬く」なる
  • 光源(ライト)が大きい面であるほど光の質は「柔らかく」なる

点光源と光の質

「光は直進する」という特性があるので、光源が小さい点だと被写体の影が出ている床や壁まで光が当たりません。
そのためコントラストが高く(明暗さが大きく)なり、影はシャープです。

点光源だと影がシャープで光が硬い

面光源と光の質

しかし光源が大きい面だと、光が拡散されて被写体を包み込むように光が当たります。

被写体自身の影の部分にまで光が当たることにより、影がボケて薄まりコントラストも低くなります。

面光源だと影がボケて柔らかい光

先ほどのようにライトを壁に反射させることにより、壁自体が大きな面光源となるため光が柔らかくなるのです。

ストロボにつけるソフトボックスやアンブレラと呼ばれるものも同じ原理ですね。

ソフトボックスやアンブレラに光を透過させたり反射させることにより、面光源にして柔らかい光に変えています。

光を柔らかくする4つのポイント

何かに反射させたり、白い半透明のものを透過させて面光源にすれば柔らかくなるのですが、柔らかさを調整するためのポイントが4つあります。

光を柔らかくするためのポイント
  • 光源の大きさ
  • 被写体と光源の距離
  • 透過させる素材
  • 反射させる素材
4つのポイント

光源の大きさ

ポイント

面光源の大きさに比例して、光は柔らかくなる

同じ壁反射でも、反射させる面積が違うと光の柔らかさが変わります。

ライトを壁に近づけて光の当たる範囲を狭くしてみた時と、壁から離して広く当てた時の違いを見てみましょう。

同じ反射でもこんなに変わるんだ!

この場合ライトからの光(点光源)が、壁を反射して明るくなっているので、被写体にとっては壁自体が大きな面の光源となっています。

その面が大きくなればなるほど、広範囲に色んな角度から光が被写体を包み込むので、より柔らかい光になります。

ゆーふぃる

壁からライトを離せば柔らかくなりますが、離れる分、明るさは弱くなります。

被写体と光源との距離

ポイント
  • 被写体と光源との距離が遠いほど、光は硬くなる
  • 被写体と光源との距離が近いほど、光は柔らかくなる

物は遠くにあれば小さく見えるし、近くのものは大きく見えますよね。

被写体にとっての光源の大きさも同じです。

せっかく光を反射や透過させて柔らかくしたつもりでも、被写体から離れるにつれてどんどん小さな点光源になってしまいます。

光源と被写体との距離による光の質の変化

透過させる素材

ポイント

光を透過させる素材が濃く、拡散率が高いほど柔らかくなる

先ほど紹介したソフトボックスのように、光を透過させることで光は柔らかくなります。

この透過させる素材の濃さによって光の拡散率が変わり、柔らかさも変わります。

半透明の薄いビニールであれば光の透過率が高く、あまり拡散しないので硬めの光になりますが、

ソフトボックスのような白い布や乳白色のアクリルなどは、透過率が低く拡散率が高くなります。

※ https://item.rakuten.co.jp/acrysunday/0000202/ より引用
ゆーふぃる

しかし素材が濃くなって拡散率が上がるほど、明るさは弱くなります

反射させる素材

ポイント

反射させる素材の拡散率が高いほど、光は柔らかくなる

こちらも透過の時と同じく、拡散率の高いものに反射させれば光は柔らかくなります。

具体的には

反射させるもの

反射率が高く光の柔らかさはあまり変わらない

反射させるもの
銀色の素材

鏡よりは反射率が低いが、白色よりは高い。拡散率は低め。

反射させるもの
白色の素材

反射率は低いが、拡散率が高いので柔らかくなる

例えば写真撮影でよく使われるレフ板には、シルバー面と白面があります。

白面のレフ板の方が柔らかいですが、反射率が低いため明るさも弱くなります。

シルバー面であれば、白面に比べ光は硬くなりますが、反射率も高くなるのでより明るくなります。

蛍光灯には点光源と面光源が混在している

蛍光灯って細長い形をしていますよね?

光源が細長いということは、蛍光灯と同じ方向に対しては点光源ですが、

蛍光灯と90度違う向きに対しては面光源なのです。

ゆーふぃる

蛍光灯の真下で自分の片方の手のひらの上に、手のひらから少し離して蛍光灯と同じ向きに1本指を出してみてください。

手のひらの上に指の影が出ますよね?

指の向きを変えるだけで、影の出方が変わるんです。

蛍光灯と指を同じ向きにするとシャープな影

蛍光灯と同じ向きだとシャープな影

指の方向を蛍光灯と90度違う方向に変えると、指の影が薄まってボケる

蛍光灯と違う向きだとボケた影

全然違う!けどなんで角度だけでこんなに変わるんだろう?

これは指を蛍光灯と同じ向きにすると、影を出している手のひらの部分まで光がまわりこんで来ないのでシャープな影が出ますが

蛍光灯と同じ向きだと点光源になる

蛍光灯に対して指を90度傾けると影が出ている部分に対しては細長い面になるので、その分光が手のひらに回り込んできて影がボケて柔らかくなるのです。

蛍光灯と違う向きだと面光源になる

角度を少し変えるだけでこんなに影が変わるんだ!

ゆーふぃる

「照明って面白いかも」って思ってもらえると嬉しいです

チューブ(棒)タイプのLED機材を使うときも、縦向きで当てるか横向きで当てるかで、影の出方が変わります。

NANLITEのPavotubeシリーズなどは蛍光灯のような細長いチューブタイプで、とってもおすすめのライトです。

点光源、面光源と光の質のまとめ

光の硬い、柔らかいとは
  • 光源が小さい点光源であるほど、光の質は硬くなる
  • 光源が大きい面光源であるほど、光の質は柔らかくなる
  • 被写体と光源が遠いほど硬く、近いほど柔らかくなる
  • 光を透過させる素材が濃いほど(拡散率が高いほど)柔らかくなる
  • 光を反射させる素材の拡散率が高いほど、柔らかくなる

このブログではテレビ局でプロの照明マンとして働く私が

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