写真や映像におけるライティング(照明)はただ『明るくすれば良い』というものではありません。
当てる光の角度や方向、強さ、色などはもちろん重要なポイントですが、もうひとつ大事なポイントがあります。
光を当てれば必ず『影』ができます。
本当にライティングの上手い人はこの『影の扱い』が上手いのです。
影の出し方や角度で写真や映像にアクセントを付けたり、よりリアルさを出したりすることができます。
この記事ではあえて作る『影』のテクニックを、テレビ局で働くプロ照明マンがいくつか紹介します。
商品撮影やポートレートなどに、「ひと味つけたい」方は是非試して見てください。
- テレビ局で働くプロ照明マン歴10年以上
- スタジオでのバラエティや商品撮影、ロケ、ドラマなどの照明を担当
- 所有カメラはSONY α7ⅲ、FX30
- 私物のライトや撮影機材もどんどん増えてる
ゆーふぃる
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影を作るライティングで撮影した作例
まずは『影』を使った写真の作例をいくつか紹介します。
このようにあえて作った影は印象に残りますよね。
屋外なら木陰を使ってみたり、室内なら差し込む太陽光をうまく使ったり、ブラインドの影を出してみたり。
このようにもともとある物を駆使して影を使う方法もありますが、天候や時間帯、アングルに制限があることがデメリットです。
ライトや小物などを上手く使えば、太陽に縛られず、好きな場所に効果的な影を作る事ができます
ライトを使った撮影で影を作る方法
ここからは室内でライトを使って影を作り出す方法をいくつか紹介します。
使用するライトはこちらのスポットライトタイプのLED定常光「NANLITE Forza 60」。
ストロボだと一瞬しか光らないので、影を使ったライティングの場合は光り続ける定常光(ビデオライト)のほうが調整しやすくおすすめです。
もうひとつ使うのは影を作るためのレフ板。
これを組み合わせて撮影したら写真がこちら。
俯瞰撮影だと奥行きが無く味気ない写真になりがちですが、小物を使う他にこうして影を作る事でもアクセントを加えられます。
撮影風景はこんな感じです。
- 部屋の電気は消して、昼間なら遮光カーテン等でなるべくライト以外の光が影響しないようにする
- スポットライトのリフレクターは外す
- 折り畳みレフ板を立てて影の位置を調整
部屋の電気は必ず消す
ライトを使って物撮りをする場合、部屋の天井のシーリングライトは基本的に消してしまいましょう。
余計な写り込みが出たり、自分やカメラの影が出たりしますし、ライティング的にも余計な光となってしまう場合が多いです。
ちなみに太陽光メインで撮影する場合も、部屋の電気は消しちゃった方が良いです
天井からのライトがあると、写真全体が明るくなってしまい陰影(コントラスト)が薄まるため、立体感が少なくなってしまいます。
スポットライトのリフレクターは外す
スポットライト系のリフレクターとは、ライトからの光を反射して集光させることで光量を上げるためのパーツです。
下の写真の左側にある、内側が銀色の筒状のパーツですね。
リフレクターを付けることで光量は上がるのですが、光を反射させているためそのぶん影がにじんでしまうのです。
そのためシャープで綺麗な影を出すためにリフレクターは外してしまいましょう。
コンパクトタイプやパネルタイプのライトの場合
長方形のパネルライトの場合はスポットライトと違い、シャープな影は出しにくいです。
ボケた影とシャープな影の違いは「点光源と面光源|光の硬い柔らかいとは?」で詳しく解説しています。
この後でも解説しますが、コンパクトタイプのライトでもライトとレフ板の距離を離すことである程度ならシャープな影にすることができます。
折り畳みレフ板を立てて影の位置を調整
被写体とライトの間にレフ板を立てて影を作ります。
斜めに影をピシッと入れるとオシャレ感が出せます。
影のシャープ感はライトとレフ板の距離とレフ板から影が出ている部分までの距離で変わります。
ライトとレフ板の距離が近いとすこしボケた影に、離すとくっきりシャープな影になります。
そしてレフ板のすぐ側の影はシャープですが、レフ板から離れるほど影はボケていきます。
コンパクトなパネルタイプでも距離を離すことである程度はシャープな影にすることができますが、やはりスポットライトのようにクッキリした影にはなりません。
レフ板2枚でよりピンポイントな光を
レフ板を2枚使って影を作ることにより、光の筋のようなピンポイントの光も作り出せます。
レフ板のすき間から光を入れることで光の筋を作っています。
例えば商品のロゴなどにあたるようにするとカッコいいですね
また、影を出すために立てたレフ板にうっすらブルーのライトを反射させたりすると、より印象的になります。
上で使っているのは、おすすめのコンパクトLEDライト「Pixel G1S」
背景に影を出す
被写体の背景に影を出すのもおすすめです。
これもレフ板で背景に影を作っています。
レフ板を挟むクランプホルダーとマジックアームのスタンドがあると調整しやすいですよ
例えば夕方感を出したい場合ただ横からライトを当てるよりも、背景に伸びる影を出すとよりリアルになります。
左側の写真はライトを低くして横から当てて、カメラのホワイトバランスを9500Kに設定して全体をオレンジっぽくしたもの。
右側の写真は同じ設定で背景に影を足したものです。
背景に影があるだけでよりリアルな夕方に見えませんか?
これはどちらもライト1灯のみでカメラ側のホワイトバランスで調整した、撮影後に編集していない撮って出しの写真です。
このようにライティングだけでも時間帯を表現する事ができるのです。
小物を使って影を作る撮影
レフ板以外にも様々な小物を使って影を出すと面白いです。
例えば100均でも購入できるフェイクグリーンやフェイクフラワー。
これを使う事で、以下の写真のように木陰感を足すこともできます。
こちらも先ほど使ったクランプスタンドなどがあると便利です。
テーブル上で使うなら80cmくらいのミニスタンドがちょうど良いです
このような穴の空いたランチョンマットなどを使っても面白いです。
家にあるものや100均などで影を出すと面白そうな小物を探すのも楽しいですね。
影を使ったポートレート
物撮りだけでなくポートレートでも影を使うと印象的に仕上げる事ができます。
木陰や建物の影、差し込む光などを見つけたら是非うまく使って撮影にチャレンジしてみましょう。
木陰を使う
例えば屋外ならモデルさんの顔に木陰が来るようなポジションを探ってみましょう。
コントラストがキツすぎる場面では、木陰に入る事でバランスを取ることもできます。
建物の影を使う
建物の影をうまく使う事でも印象的になります。
いい影の出方やおもしろい影を見つけたらぜひ使って撮影してみましょう。
良い影の位置はモデルさん自身では分からないので、カメラマンがしっかりと指示して立ち位置などを指示してあげてください。
ブラインドの影を使う
室内でブラインドがあれば、窓際で撮影するのもおすすめです。
思い切ってブラインドの影を出してみましょう。
影を作るライティングにおすすめな機材まとめ
あえて影を出す事で、写真や映像にひと味違ったアクセントをつけることができます。
物撮りやポートレートで差をつけられるので是非試してみてください。
室内で影を使ったライティングをするなら、今回使っていたようなLEDスポットライトをおすすめします。
Forza 60をプロ照明マンが徹底レビューでも詳しく紹介していますが、NANLITEのスポットライトはコンパクトで明るくおすすめです。
色温度が変えられるForza 60Bは人気で、Amazonや楽天でもちょくちょくセールが行われています。
安い時は20%オフくらいになっています
同じクラスのライトならAputureやGodoxもおすすめのメーカーです。
それぞれリフレクター装着時の明るさは違いますが、外した時の明るさはどれもほぼ同じです。
リフレクターの集光具合に違いがあるようです
ライトの候補 | リフレクター装着時の明るさ | 本体サイズ、重量 | 価格 | 備考 |
Forza 60 | ☆☆☆☆ | 195x105x80mm、830g | ¥32,450 | 色温度5600固定で60Bより明るい、ケースが上質 |
Forza 60B | ☆☆☆ | 195x105x80mm、830g | ¥38,500 | 色温度可変、ケースが上質 |
Aputure Amaran 60X | ☆☆☆☆☆ | 11.7×11.1×11.1cm、750g | ¥27,800 | 一番集光型のリフレクターで明るいが広がりは少ない ケースがいまいち |
Godox ML60Bi | ☆☆☆ | 14.5×8.8×8.8cm、770g | ¥37,270 | 筒状で持ち運びに便利 バッテリーホルダー付き |
ライトを買う場合はスタンドも一緒に購入しましょう。
レフ板や小物を固定するならクランプホルダーやマジックアームがあると便利です。
立てられるレフ板は黒面を含む、なるべく大きめなA3サイズがおすすめです。
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