『写真のシャッタースピード』については以前の記事で解説しましたが、今回は動画にスポットを当てて解説していきます。

一眼で動画を撮りたいんだけど
設定がよく分からなくて…

フレームレートとシャッタースピードについては必ず覚えておきましょう。
ミラーレス一眼でおしゃれな動画等を撮りたい方にとって必須の知識ですよ!
写真と動画におけるシャッタースピードは設定の考え方が少し変わります。
写真のシャッタースピードは分かるけど、動画はよく分からないという方も是非読んでみてください。
そもそも『シャッタースピード』って何?という人はこちらの記事を先に読んでみてください。

- テレビ局で働くプロ照明マン歴10年以上
- スタジオでのバラエティや商品撮影、ロケ、ドラマなどの照明を担当
- 所有カメラはSONY α7ⅲ、FX30
- 私物のライトや撮影機材もどんどん増えてる

ゆーふぃる
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動画のシャッタースピードはフレームレートの2倍分の1秒にする

動画のシャッタースピードは基本的にはフレームレートの2倍分の1秒が丁度いいとされています。
- ○フレームレート24fps
シャッタースピードは1/50秒
- ○フレームレート30fps
シャッタースピードは1/60秒
- ○フレームレート60fps
シャッタースピードは1/125秒(1/120秒が無いので一番近い数値)
室内などでフリッカーが起きてしまう場合を除いて、これを基本として覚えておけば自然な動画を撮影する事が出来ます。
ただ、あくまで「基本」ですので必ずこの設定にしなければならない訳ではありません。

フレーム…レート…?

フレームレートとは動画の記録形式の設定です。
ご存知の方は飛ばして次へどうぞ!
フレームレートとは?
動画には『フレームレート』と呼ばれる記録形式の設定があります。
動画というのは実はカメラが凄いスピードで写真を連写して、その写真をカメラが勝手に繋げて再生して動画にしてくれているのです。
パラパラ漫画のようなものですね。

『その動画の1秒分を構成する写真を何枚にするか』というのがフレームレートの設定です
フレームレートは『fps(frames per second)』=フレーム毎秒という単位で表されます。
ミラーレス一眼など機種により設定できる数値に差はありますが、一般的によく使われるのは以下のフレームレートです。
- 24fps 映画で使われる
- 30fps テレビやDVDなど一般的に使われる
- 60fps 4K映像やスポーツの映像などに使われる
- 120fps スローモーション映像を撮る場合など
標準の設定としては30fpsが多く、この場合は1秒間に30フレーム=30枚の静止画で構成する動画の設定という事になります。
動画を構成する静止画(フレーム数)が多ければ多いほど滑らかな動き、少ないほどカクついた動きに見えます。
フレームレート比較 参考動画

例えば30fpsなら1秒間30フレームになるので、5秒分なら30×5で150フレームつまり150枚の写真で構成される動画となります。

簡単に言うとパラパラ漫画の1秒分を何ページ描くかという感じです。
パラパラ漫画を同じ秒数で見せるとすると、ページ数が多いほど細かい動きが表現できて滑らかに動きますよね。

ページ数が多い方が細かい動きを描けるので滑らかに見えますが、その分漫画はどんどん分厚くなっていきます。
動画の場合も同じようにデータ量が大きくなってしまうのです。


フレームレートが高ければ高いほど良いという訳でもありません。
データが大きくなると転送の時間がかかり過ぎてしまったり、動画ファイルの容量を大きくしないと画質が落ちてしまう事もあります。
『シャッタースピード』写真と動画の違い
カメラのシャッタースピードは速くなればなるほど、シャッターの開いている時間が短くなりブレが少なくなります。

動画の場合も同じようにシャッタースピードが変わると動画のブレ具合が変わります。
動画の途中でシャッタースピードを大幅に変えてしまうと、ブレ具合が途中で変わって不自然な動きになってしまうので
動画を撮影する場合はシャッタースピードを固定して撮影します。
写真の場合は静止画なので、どれだけシャッタースピードを速くしても問題ありません。
昼間の外であれば1/3200秒や1/5000秒などで撮っている事もざらにあります。
しかし動画の場合はシャッタースピードをあまりに速くしすぎると、ブレが無くなってパラパラした不自然な映像に見えてしまうのです。
シャッタースピード比較 参考動画
映像の途中でブレ具合があまりに変わると違和感を感じてしまいます。

これが動画ではシャッタースピードを固定しなければならない理由です。
動画には適度な『ブレ』が必要
先程の参考動画にもあるように動画には適度なブレがないと逆に不自然に見えてしまいます。

写真の時はブレを無くしたいのに動画の時はブレが必要なんだ
自分の目の前で手をブンブン振ってみてください。
手がブレて見えますよね?
この肉眼に最も近いブレ具合が『フレームレートの2倍分の1秒』のシャッタースピードなのです。
とはいえ多少のシャッタースピードの差であればそこまで神経質になる必要はありません。
屋外であればフリッカーもあまり気にしなくて良いので、明るすぎるなら多少シャッタースピードをあげてしまっても問題ないです。

ただ同じシーン、同じカット内であまりにシャッタースピードが変わりすぎると違和感があるので注意しましょう。
シャッタースピードはフレームレート以下には出来ない
一部機種を除き、基本的に動画のシャッタースピードはフレームレート以下の数値にはできません。

どういうこと?
フレームレートとは1秒間を構成するフレーム(コマ)数でしたよね。
例えばシャッタースピードが1/10秒だった場合、1秒間で撮影できる枚数は10枚です。
30fpsとすると1秒間に30コマ必要なのに、シャッタースピードが1/10秒だと20コマ足りなくなってしまうのです。
なので30fpsの場合シャッタースピードの下限は1/30秒、60fpsなら下限は1/60秒となります。
蛍光灯等がフリッカーする場合の対処法
フリッカーとは蛍光灯やLED等がチカチカと点滅してしまう現象です。
蛍光灯というものは、実は目に見えないくらい速いスピードで点滅を繰り返しています。
この蛍光灯の点滅がシャッターの開閉のタイミングとズレてしまうことによりフリッカーが起きるのです。

『電源周波数』と言うものが東日本は50hz、西日本は60hzと違うので、この蛍光灯の点滅の周期も東日本と西日本の場合で変わります。
- 東日本は50hzなので、1/50 or 1/100
- 西日本は60hzなので、1/60 or 1/125
上記のように電源周波数の倍数のシャッタースピードであれば、基本的にフリッカーは起こりません。

動画の明るさ調整
動画を撮影するには上記のシャッタースピードに固定する必要があるので、基本的には『シャッター優先』か『マニュアル」モード、動画モードがあれば動画モードで撮影しなければいけません。
カメラの明るさは『F値』、『シャッタースピード』、『ISO感度』で決まります。

シャッタースピードはなるべく固定したいので、動画の明るさは基本的にはF値とISO感度を優先して調整します。

一眼っぽい背景がボケた動画が撮りたいんだけど…

背景をボカすにはF値を低くしなければいけませんよね。
しかし昼間の外でシャッタースピード1/60秒や1/100秒などにしてF値を低くすると、ISO感度をいくら最低にしても明るくなり過ぎて何も映らなくなってしまいます。

じゃあ昼間は背景をボカせないってこと?

レンズの前に付けて明るさを落とすNDフィルターを使えば大丈夫です!
レンズの前に付ける事で光量を落とすことができるので、昼間の外でもF値を低くして背景をボカした動画を撮影する事が出来るようになります。

VLOGみたいなおしゃれ動画を撮るなら必須のフィルターです。
詳しくは『動画撮影にNDフィルターが必要な理由』の記事をチェックです!

動画のシャッタースピードとフレームレートまとめ
一眼でおしゃれな動画を撮ろうと思ったら写真よりも更にカメラの知識が必要です。
『F値』、『シャッタースピード』、『ISO感度』はもちろんですが、『ホワイトバランス』なんかについても知っておいた方が良い知識です。

一度覚えてしまえばそんなに難しくないので、少しずつ触りながらコツを掴んでいけば大丈夫です!
是非カメラをマニュアルモードで触ってみながらこのブログを読んでみて下さいね。
動画撮影をされる方は是非照明を取り入れてクオリティアップさせましょう!

このブログではテレビ局でプロの照明マンとして働く私が
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